殺人カメラ



「阿部先生…」

「大丈夫です…開けてごらんなさい…」


あの後、何なのか、何が起きたのか分からない美里に全て教えてあげた。

美里は泣いていた。


そして、多分美術準備室にあるカメラだと思われる事を言い残して「彼」、いや優希は行ってしまった。

そして今、そのフィルムを現像して貰った。


開けると中には。

「これって…」

幼い美里と優希が写っていた。

「可愛いっ…」

「ゆうちゃん……」

その中の一枚に優希のお母さんであろう百合子さんが写っていた。

その写真を抜いていた事は美里には内緒にしておこう。


もうこの写真を見る必要はないだろうし。


その後、私は正式に美里を養子にした。

そして10年経った今、まだ私は中学校で授業をしている。

美術部の顧問ではあるが、国語担当の先生なのだ。

そして今日の授業の内容は「昔あった出来事」で作文を書く事だった。

50分の授業が終わる鐘を聞いてもしばらくぼーっとしていた私をほうって置いて生徒達は勝手に休み時間にしている。

「先生…?」

ある生徒が私に話しかける。

「はっ…はい?何でしょう」

「どうしたんですか?」

その生徒は学級委員の真面目な男の子だった。

「ちょっと昔の事を思い出していて…」

「フーン…」

その生徒は「彼」に似た笑顔で答えた。

「先生…美術準備室のカメラの噂って知ってますか?」




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