桜姫紀
悲劇はその10年後に起きた。
「葵ちゃん、今日市場に行くけど食べたいものある?」
「何でもいいよ。」
「そう?じゃあいってくるわね。」
「いってらっしゃーい!」
手を振れば、お母さんも振り替えしてくれる。
「さてと、私も行くか!」
私は寺小屋に通って読み書きをやっていた。
勉強はあまり好きじゃないけど。
そう考えていると
いきなり男の人が声をかけてきた。
「あれ?ねー君ってあの家の子供?」
あの家の子供。
なんだかそう言われると少しうれしくて
「はい。」
「やっぱり?君のお母さん美人さんだよねぇ。」
お母さんって見えるんだ・・!
うれしい。素直な感情が胸からこみ上げた。
「でも、お父さんは帰りがいつも遅いよね。」
「そうですか?戌の刻には帰ってますけど。」
昔は丑の刻に帰ってたしなぁ・・。
「そうなんだ。俺の見間違いかなぁ。」
「葵ー!何してんだ、早く行くぞ!」
「あっではこれで。」
ぺこりと頭を下げて竜の元に走った。