桜姫紀
あっという間に夜がふけた。

こことも今日でお別れ。
辛いことばかりの人生。悲しいことばかりの人生。
でも、霞と出会えた私は幸せ者だったかな・・・。
ごめんね。霞。
私ね、やっぱり耐えられない。
人質なんて・・・。
でも、ここで死んだら貴方、悲しむよね。
だからね、剛の国で死ぬことにする。
人質交換はお互い重圧をかけるためのもの。
相手の国の人質が死んだなんてなったら自分の国が不利になる。
だから、人質が死んでもそのことは決して言わない。
ちょうどいいよね。
だって死んでも霞にこのことは伝わらない。
そうすれば、悲しまないでしょ。

ね、霞・・・・。


手を握って、開ける。
手を握って、開ける。

これが出来るのは生きてる証拠。

死んだら・・・死んだら、どうなるんだろう?

ふと、私は思った。

生まれ変わり。天国と地獄。魂の消滅。
いろんな説があるけど、私は魂の消滅が正しいと思う。
私は神も仏も信じてない。
だってもしそんな人?がいたら、争いも妬みも恨みも。
全部、全部起きないと思う。
生まれ変わりはただの人の都合のいい考え方。

だったら普通に考えて魂の消滅が一番正しいんじゃないかな。

手が暖かいのは生きてる証拠。
怪我をして血が出るのも生きてる証拠。


体が生きてる証拠はたくさんあるのに

心が生きてる証拠はどうして、ないんだろうーーー?


私の頬を雫がつたう。
なんで私は泣いてるの?

人質となって悲しいから?
生きているのが辛いから?

わからない---------。


そんな気持ちに響くように

カンカンカンカン!!!


< 4 / 73 >

この作品をシェア

pagetop