桜色の初恋


止まらないこの想いを伝えたくて

少しでもあなたに近付きたくて。


あたしは先生の前に現れた。


一人の生徒として――――


「お前誰だ?」


少しだけ怪訝そうな顔をして近くにおいてあったタオルに手を伸ばす。

先生があたしの事を知らないのも無理はない。

だってあたしは先生の授業を今まで受けた事なんてないんだから。


「誰、かな?名無しの権兵衛とでも言ってください」

「なんじゃそりゃあ。お前の親は今時そんな変な名前付けたのかよ」

呆れた声を上げて、再び洗面台に向き直る先生の白衣に

そっと手を伸ばし掴む。


「それじゃあ“桜”でいいです。
ね、先生?あたしと1週間だけ付き合ってくれませんか?」



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