こんな娘で、ごめんね。
「……痛いっ。やめろよ」


顔、頭、足

どこを殴られてるかもわからない。



『お前の根性を叩き直してやる』




納戸の扉が開いている。



護身用に置いてあった、木刀が、目についたのか父が手をのばそうとした。



『やめて! この子が死んでまう! ウチの子に手を出さんといて!』



母は、急いで納戸の扉を閉め、父を必死で止めようとした。



『うるさい! どけ! お前は、黙っとけ!』



『……痛い』




ドンッという音とともに
母は、廊下に倒れ込んだ。



『俺に口だしするな!』




父は、母を蹴り倒した。




そして




近くにあった
灰皿を壁にぶつけた。






−−−…死ねばいいのに。



本気で、そう思った。




どいつも、こいつも





死んでくれ。






……いや




あたしが、死ねばいいだけなのかもしれない。





廊下に仰向けになりながら、照明を見上げるあたしの口の中には、生臭い鉄の味がしていた。




< 48 / 68 >

この作品をシェア

pagetop