初恋~First Love~


「俺、引っ越してから鏡花に手紙書こうと思ってたんだ。
本当に」

「別にもういいよ」

その話はもういい。
今頃何言ったってどうしようもないんだから。


「ちょっと聞いて」

でも、夏輝はその話を続ける。

「でも、引っ越してすぐに親父が倒れて。
なんかあっけなく死んじゃっってさ」

「え?」

驚いた。
そんなことがあったんだ。
何にも知らなかった。

「で、なんかばたばたしてて。
鏡花に手紙出さなきゃとは思ってたんだけど、時間がなくて」

知らない。
夏輝にそんなことが起こってたなんて。

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