初恋~First Love~


「で、なんか疲れて。
なぜか俺まで倒れた」

「へっ??」

なんか、あたしの知らないことだらけ。


「でさ、そのときの俺の主治医の先生の娘が梨花。
家族みんなですごくよくしてくれてさ。
梨花が俺に好意を抱いてくれてるのも分かったし」


なぜか夏輝はまだ雨が降っているのに傘を閉じた。


「で、小5のときから俺と梨花は恋人やってんの。
鏡花には悪いと思ってたんだ。
分かってたんだ。
でも、俺は先の生活のほうが大事で。
鏡花を傷つけてることも分かってたんだ。
それに、梨花のことも」


夏輝の声はだんだんと小さくなっていく。

きっと傘を閉じたのは涙を隠すため。

だと思う……

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