空へ
「バイト?夜に?一体何のバイトしてるの?」

私の質問に、リッピーは何も応えない。

「ねぇ、何でそんなに痩せこけちゃったの?」

さらに質問すると、リッピーは顔を私から見えない方に向けた。

体が僅かに震えている。

「リッピー…」

私は、こんな弱々しいリッピーを初めてみた。

リッピーは普段は強気な女の子なの。

コンビニで、意味の分からない苦情を言ってくる客なんか、リッピーがいつも一喝して追い払ってくれるの。

私は内気だから、そんなリッピーを尊敬するとともに、ちょっぴり羨ましかった。

だけど、リッピーにもこんな一面があったんだ…。

私は、リッピーの体を後ろからそっと抱きしめた。

微かに漏れる声…。

さらに震える体…。

リッピーは強気な女の子。
人前で涙を流す子じゃない事くらい想像できる。

「リッピー…我慢しなくていいから」

私がそう言うと、防波堤の崩れた涙は一気に流れ、リッピーは声を張り上げて泣きじゃくったのだった…。



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