空へ

優太郎の過去

リッピーが私の胸で泣き続けて、15分くらい経ったかしら。

リッピーが、私の胸から顔を上げた。

「大丈夫?」

「うん、ありがとう」

そう言って、リッピーは目を擦って、笑った。

私はその顔を見て、ドキッとした。

この子は、磨けば絶対美しくなるわ…。




「ねえ」

少し時間を置いて、リッピーは私に話かけてきた。

「優太郎はさ…」

「何?」

「何でオカマになったの?」

私はこの質問をされても、答えたことがない。

オカマバーで働いていた時も、客からよく質問されていた。

しかし、私はいつも話題をすり替え、適当に流していた。

話したくない。

思い出したくない過去…。

私はいつものように話題をすり替えた。

「あら、大した意味はないわよ。それより、リッピーこそ、どうしてそんな体になっちゃったの?」

リッピーは少し考え、言った。

「じゃあ、優太郎が話してくれたら、私も話す」

私は迷った。

私は話したくない。
過去を思い出したくない。

しかし、リッピーの体の事も知りたい。

さんざん迷ったあげく、私は言った。

「いいわ、聞かせてあげる」

私は、初めて自分の過去を話すことにした。

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