大嫌いなアイツ
「優子は…俺のせいで。
 ホテルに連れ込まれた。
 俺のせいで。
 傷つけた。
 俺がいるから…っ。」

『ばかかお前は。』

「っ…。」

『それが何だよ。
 これからをお前が
 守ればいいんだろ!?
 何弱気になってんだよっ。
 それでも俺様の龍司かよっ!!』

「…俺様は余計だな。」

『うっせ。』

「健太…。」

『あ?』

「優子は、幸せそうか?」

『ぇ…。』

「アイツは笑ってる?」

『…確かに亮と付き合ってから
 楽しそうにしてるけど…。』

「…ならいい。」

『は…?』

「優子が笑ってるんだったら
 いい。
 傍で…見守る。
 それでもいいだろ?」

『お前…俺の話「聞いてた。
 ちゃんと聞いてた。」

「どうせ優子は俺を振る。」



優子は…人のことを一番に
考えるやつだ。



だから。



俺と一緒にはならない。



『…龍司。』

「ん?」

『お前…ほんと優子ちゃん
 好きなんだな。』

「え?」

『…お前がそう決めたなら
 いいよ。』

「わりぃな。
 サンキュ。」

『おぅ。』




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