もう1度~私と先生と桜の木~

そういうヤツだから





「…そろそろ、呼びに行くかあ」


一カ所だけ明りがもれる廊下の窓を桜の木の下で眺めながら呟く。

ったくアイツら、何やってんだか。


テスト期間中なのに、

帰ろうともせず、まだ教室にいるんだから。

なんだ?

これはもしかしたら俺に対する新手の嫌がらせか?


教室の戸締りは担任である俺の責任になる。

だからあの2人が帰らない限り俺も帰れない。

嫌がらせで俺を帰らせないために、2人ともまだ教室にいるのかもしれない。


そんな妄想を頭の中で膨らませながら廊下を歩く。

ドアの少し手前から少し大きな声で言う。


「おーい、お前らあ~

いつまで教室にいる気だあ~」


言い終わると同時にドアの前。

ドアは開いていて中を覗くと類と奏は隣に並んでいて。

その距離は友達の距離ではなく…


「…あ、ごめん。邪魔…だったな」


慌てて、謝る。

なんだよ。

前から仲がいいとは思ってたけど。

まさか付き合ってるだなんて。

言ってくれれば良かったのに。






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