裏生徒会部


そういえばジャージのままだから返さなきゃ。


「ねぇ、ジャージかえ」


全部を言い終わる前に、私の言葉を遮ってあの鳴き声が聞こえた。


「わんわんっ!!!」


犬…?

犬!?


「ん。野犬だな」

「あぁぁぁっ……!!」

「なんだよ」

「いいぃ犬…!!」

「犬だな」


犬は私の方を見ると此方へと段々近づいて来た。

来ないで!!

恐怖心のあまり、私はルールなんて無視して、柊也に抱きつく。


「柊也!!犬!!犬ー!!」

「だからなんだよ!?つか、なんで抱きついてんの!?離れろ!!」

「やだやだやだ!!犬怖いもん!!襲われる!!!」

「俺は今のお前の方がこえぇよ!というよりな……」


気づいた時には犬はもうそこまで来ていて、足をのばせば届く距離。

もうダメ………

柊也が何か言っていたけど、何も聞き取れないまま、私の意識は途切れた。



< 60 / 739 >

この作品をシェア

pagetop