ハナウタ

手探り

優等生の柏原がクラスの女子を怒鳴った事件は、不明瞭な情報などを引きずりながら物凄い早さで広まり、僕に対する嫌がらせもあの日を境にぴたりと止んでいた。







僕らのもとには以前の日常が戻って来たけど、周りの女の子達がぎくしゃくしていたりして、その不自然さについ内心渋面を作った。








そして彼女、

九ノ月サン。


ずっと事の渦中にいた彼女は周りの女子達とも気まずい仲になってしまい、一人でいる所が目立つようになった。








柏原は、何故か相変わらず彼女には極度に冷たく接する。




彼女の気持ちが今だ変わらない事を知っているからこそいたたまれなくて、
でも頭のどこかで自分から言っても柏原にはなんの影響もないことも察しがついていたから、



僕はただ、期を待つしかなかった。
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