恋した私の負け(短)
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「要ちゃん、」
彼女は、私が朝一番に学校に来ることを知っていた。
「昨日、滝と一緒にいたって、本当なの?」
可愛らしい声が、広い教室に溶けていく。クリクリの真っ黒な瞳が揺らぐ。
「つまり、」
……つまり、
「あいつのこと試したってことでしょ?」
どのくらい自分を好きでいてくれてるか。どのくらい自分を大事に想ってくれているか。
ふざけた駆け引き。
何となく、感づいてたよ。
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