恋した私の負け(短)
限界。彼女の目から涙が溢れた。制服の袖でほっぺたを伝うそれを拭う。
「やめなよ、ほら」
「……ありがと」
差し出したハンカチを素直に受け取る。いい子なんだよ、ちゃんと知ってる。
中学の時はいつもグループで一緒に遊んでた。私を意識いてたことも、すごく伝わってきてた。
彼女との間で“友達”の関係が成り立たなくなってて、そんな時にあいつが彼女に告白して。
こうして2人で顔合わせるのも久しぶりで。
「私じゃなくてあいつにいいなよ、その気持ち」
「だって、もし、要ちゃんをとったらどうしようって……フられたらどうしようって、」
「そんなはずないじゃん」
彼女も辛かったこと、気づいてあげれなかった。
自分のポジション守るのに、彼女のポジション羨むのにいっぱいいっぱいで、傷つけてること、分かってなかった。