偽りの愛





こんなに辛い思い、しなくて済んだのかな?



―――もし、本当にそうだったら・・・。
あたしはあの頃の自分を恨むだろう。
きっと、自分が自分じゃなくなるくらいに泣き叫んで泣き喚いて・・・。
そんな思いもしなかったんだよね?
もう、戻ることのない日々。
笑って、泣いて、怒って、また笑って・・・。
そんな、あなたの一言一言によって一喜一憂して。
まだまだ子供だったあたしに、恋することの嬉しさや優しさを教えてくれた。
そうして、少しずつ大人になっていくあたしに優しい瞳を向けてくれていたあなた。
出来るなら、あの頃の自分に戻りたい。
何も考えないで、笑っていられたあの頃に。
“恋、恋”と言っていられた、あの頃へ。



「・・・・・・愛して、る・・・っ」



それが、あたしの最期の言葉。




―――拝啓、愛しきあなたへ・・・。






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