【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
「春風、奥から私のグローブとテーピング持ってこい」


「……りょーかいです」


春風は私の半ば脅しとも取れる命令に従順に従い、頼んでもいないのにテーピングまでやり始める。私のセコンドにつくつもりらしい。


皆川会長の方は、この勝負に興味津々な龍兄がテーピングと調整、セコンドも行うみたいだ。


さっきの俺様のすっげースパーリングを見てたジムにいた人間達がわらわらギャラリーを作り始め、リングの周りは賑わう。


「ひよこを屈服させるいい機会と、それに見合ったギャラリーだな」


「へっ!屈服すんのは会長かもね」


準備の済んだ私達は審判に入った親父を挟み、グローブ同士をぶつけ合う。


ぶつけたグローブから、闘志が移って燃え盛りそうなほどに熱く感じた。
< 221 / 398 >

この作品をシェア

pagetop