【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下



…………刹那。ホントに一瞬だ。コイツは光りより早いのかと思うくらいに。


ゴングが鳴った瞬間、皆川会長の拳がビュン、と空を切る。


「……プロのボクサーでも、んな早いジャブかまさねぇよ。一体何者だ、皆川君」


何となく、ぎらつく龍兄の瞳と声が、鼓膜と心臓を揺らした、気がする。


そのジャブをもろにいただいた私は、アニメの如く吹っ飛び、尻餅をついた。


糞、一発KOなんか、ありえねぇし!絶対負けねぇ、負けてたまるかボケコラ!


ふらつく体で私は立ち上がり、焦点の定まらない瞳で会長を見据える。


負けるな。気持ちで負けるな。相手がどんな化け物だろうと、ここは私のマイホーム。勝機はある。
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