君を忘れない
サークルが終わり、駅で電車を待っているあいだも美波のことが頭から離れなかった。

彼氏と別れた女の子に対して、僕は本当に最悪な言葉をかけてしまった。

いくら考えても、辿り着くのは結局この答えだった。


「何、考えてるの」


その言葉に振り返ると、スーツ姿で対照的な表情の二人が立っていた。


「どうせ、また競艇のこととか考えてるんでしょ」


そう言いながら、かよっぺが笑顔のまま肘で腹を小突いてきた。

二人は就活の説明会か何かの帰りなのだろう、後ろには疲れきった顔をした小山が立っていた。


「ちょうどよかった。

就活の話とか聞きたかったから、これからトラさんのアパート行っていいでしょ」


なんだ、その聞かなくても返事は分かっているというような聞き方は。


「おいおい、スーツ姿のまま行くのかよ」


小山がかよっぺの肩を叩いて言った。


(そうそう、まずは「行っていいですか」の一言から言わないと)


四盛といい、かよっぺといい、まるで僕が全く用事が無くて暇人みたいに決めつけた言い方をしてくるから困ったものだ。

今の小山なら疲れきった顔をしているし、そこまで乗り気でもないだろうから、「それどころじゃないだろ」とか言って素直に家に帰るだろう。


「一回帰って、着替えてから行きますね」


めちゃくちゃ乗り気じゃないか。

全くと言っていいほど遠慮という言葉がない三人だ。

まあ、これがいつもの四人のことなのだから別に今更どうこう言うことではないが。
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