不良彼氏と胸キュン恋愛【完】
「……――花音、行くぞ」
流星は吐き捨てるようにそう言うと、あたしの手を掴んでグイッと引っ張る。
「で、でも……――」
その時、一瞬だけ視界に入った智也の顔。
その表情がやけに寂しそうで。
ためらうあたしに気付いたのか、流星は「花音」と苛立った声であたしの名前を呼んだ。
だけど、唇を噛み締める智也を残してこの場を去ることができなくて。
智也……どうしたんだろう。
どうして智也は流星が絡むと、感情的になるんだろう……。
すると突然、智也がおもむろに顔を上げた。