不良彼氏と胸キュン恋愛【完】
「結構、混んでたね~?」
「結構じゃなくて、かなりだな」
アイス屋の前に出来た長い列にうんざりしながらも、順番待ちを続ける。
そして、ようやく花音のお目当てのアイスを買って椅子に腰かけた時に、俺は周りの状況に気が付いた。
どこを見ても、女女女。
その大半は制服を着た女子高生。
友達同士で楽しそうに喋りながらアイスを頬張っている。
やっぱり、ケントの言っていた通りだ。
つい最近、このアイス屋に野口と一緒に来たというケント。
『俺、もう二度とあの店の中でアイス食わない。男ってだけで何か肩身狭いし。ジロジロ見られてアイス食うどころじゃないから』
ケントの言っていた『肩身の狭い』という状況は、今この瞬間の俺だ。
どこからともなく痛いほどの視線を感じて、そっちに目を向けると、女達はハッとして目を反らす。
それの繰り返し。