銀河の流星
歯を食いしばり、全身の筋肉を張り詰めさせ。

星乃は切り立った垂直の壁を己の力だけで登る。

上体を引き上げ、両足で残る半身を押し上げ。

「はーっ…ふぅ…ふぅ…」

頂上に到達した星乃は大の字に寝転び、息を荒げる。

「ほぅ…」

そんな彼女を、銀髪の男は上から見下ろした。

「大した女だ。自力で這い上がってきたか」

「そりゃそうでしょ…はぁ…助けがないなら…ふぅ…自分の力だけが頼りでしょ」

息を弾ませながら男を見上げる星乃。

胸が呼吸によって上下し、登頂の過酷さを物語っていた。

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