ペテン師の恋
八章 狂気
あれから数日、朱一からの連絡はなかった。






たまに私から電話をしてみるものの、応答はなかった。






クラブも12月に入ると、宴会の二次会などで、新規の客も増え、忙しく過ぎていく。






それでも、仕事から解放されると、朱一が恋しくなった。






時々、違う男とはたくさん話しているのに、どうして一番話したい人とは話せないの?





なんて、滑稽な問いが頭を過った。





自分の気持ちに気づいた日から、私の中でいろいろな感情の存在も知った。





寂しいなんて、母親と離れて以来、感じたことがなかった。






誰かと一緒にいたい。





声が聞きたい。





私の中で、独占欲がでてくるなんて、不思議だ。





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