ペテン師の恋
朱一は急に立ち上がった。








「君はおかしい…。今日は帰るよ」








朱一は一切、私を見ずに言った。








「待ってよ」







私はすぐに朱一を呼び止めた。







このまま、離れてしまったら、朱一とはもう二度と会えない気がした。








「どうして、そんな話をするの?」








もしかしたら、朱一は今日で私に会うのを最後にしているのかもしれない。







「どうしてかな、よく分からない」







「嘘、本当はわかってるくせに…。初めて会ったときより、嘘が下手になったね」







ここで引いたら、後はない。









朱一はゆっくり、私と向き合った。







瞳の奥は読めない。








あなたは今、どう思っているのかな。










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