ペテン師の恋
十二章 離別
まっすぐ見つめあうが、朱一からは言葉を発しない。







「あなたの罪を話したら、私からあなたを嫌うと思ったの?今日で、最後のつもりだったの?」







朱一は視線を下に落とした。







私が言った言葉が図星だったのだろう。








「私の何をわかったつもりなの?そんな、簡単に今の話しも受け入れられないし、急に、あなたを嫌いにもなれるわけないじゃない」







私は感情が高ぶり、泣けてきた。







そんな、簡単な思いじゃない。好きになると認めるまでたくさんの時間と葛藤もあった。








初めて好きになったのに、幸せを感じたばかりだったのに…








自分でも、なにを決断したらいいかわからない。







「君の母親を大切に思う話を聞いていたら、憎むのが普通だと思うけど?」







そっけなく答える朱一、視線はずらしたままだった。







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