【完】TEARS−ティアーズ−
「はぁ」
何度目の溜息かなんて、わからない。
さすがのあたしも、そう何度も逃げれなくて。
郁君の言った通りに待つことにした。
外には高峰さんがいて帰れないってのもあるんだけどね。
だんだん暗くなる運動場にはライトがついて。
サッカー部の練習がよく見える。
その中でも郁君は、人一倍よく動いていて。
サッカーのルールなんてわからないあたしでも、凄いっていうのだけはわかった。
郁君サッカー好きなんだろうなぁ。
そう思わせるくらいに、郁君は楽しそうにサッカーをしている。
ボールが郁君の足元についてまわってるかのようにすら見えてくる。