【完】TEARS−ティアーズ−


「それってさ、待ってるんじゃないの?」



さっきまで黙って話を聞いていた正宗が言う。



「待ってる?」

「そ、郁が言いに来てくれるのを。
郁ってマネと付き合ってるって感じじゃなかったじゃん。
だからマネも不安なんじゃないの?」

「……」



正宗は自分の事となると全然ダメなのに。

たまにこういう鋭い事を言ってくる。



「メールとかちゃんと返事してた?」

「部活の緊急連絡にはした」



それ以外のメールって返事するもんなわけ?
だって、どうでもいい内容ばっかじゃねーか。



「一緒に遊びに行ったりした?」

「してねーよ、部活あるだろ」



毎日、部活あんのにそんな暇どこにあるんだよ。
もし休みがあったら家で寝たいわ。



「一緒に帰ったりは?」

「同じ方向じゃねーし」



同じ方向の奴等と帰ればいいじゃん。
あ、たまにマネが用事で俺方面から帰る時はあったけど。



「それはないわ、郁」

「それはねぇな、沢木」



2人が声を揃えて言う。
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