《短編》砂山のトンネル
あの頃の俺たちにとって砂山は夢の固まりだったんだ。


―りょーちゃんはそっちからねっ!!
―わかった。


重なり合う指先


―あ‥‥つながったぁ
――やったなっ!


トンネルの中は夢であふれていた。

無限の可能性がそこにはあった。


あの頃トンネルの中。通わせた手と手があれば、そこになかったモノでさえ触れることができると…そう思うよ。


―りょーちゃん、なにがあったぁ?
―ミキはなにをみつけた?


だって、それは想像ゲームで…


―ミキ、うさちゃん!
―おれはひこうき!!


そこにないモノに俺たち
確かに触れていたのだから。


あの夢の続きを、掴まえに行こう?




――
――――



「寒いな…」


その日はとても寒かった。休日の昼間だと言うのに誰一人遊んでいない。俺は一人、公園の砂場で砂山を作っていた。

自分の夢を固めていく…
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