《短編》砂山のトンネル
目が覚めるとまだあたりは薄暗くて、シトシトと滴の音が聞こえた。

携帯で時間を確認すると、もう10時を回ろうとしていた。

メールが2件来ていたが開かずに携帯を閉じた


「あー‥‥雨だからうす暗いのか。」


なんて言ってみてもそんな事、俺にはどうでもいい事で‥‥

カーテンを開いて窓の外を眺めた。


「はぁ〜…」


何にもする事はない。

雨も降っているので尚更何もしたくない。


携帯だけ掴んでリビングへ向かった。

シーンと静まり返った空間に雨の音が酷くなったのを感じた。

―ザァーザァー…


「すげぇ…うぜっ‥‥」


携帯を開いてメールを確認しながらコップにコーヒーを注ぐ。


「ミキからじゃん?!」


一通目は登録サイトの広告メール

二通目は昨日久しぶりにあったミキからだった

そこには昨日のお詫びと、自分の思いが綴られていた。
“亮ちゃんは優しいから我が儘言えなかったんだよね”と、俺への気遣いまであった。


窓の外で庭をぬかるませる雨を眺めた。

昨日作った砂山もこの雨で潰れただろうか…


ぽつりと落ちた水玉は激しさを増し、濁流に飲み込まれた砂山に

夢の続きも持って行かれたのかな‥‥
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