アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


「大丈夫」



わからないけど、無視する訳にはいかない。



答えたのに今度は無言かい。



伸也さん助けてよ!



何を言えばいいのかわからないから!



「亜美。兄貴は見た目は怖いけど、優しいから緊張しなくていい」



伝わった。



声にしてない心の声が、伸也さんに伝わったことが嬉しくて、顔が少しにやける。



「何かあったら連絡してこい。じゃあ俺行くわ」



お兄様は私に名刺を渡し、伸也さんに向かって右手を挙げて玄関を出ていった。

「突然悪かったな」



伸也さんが、私に謝るなんて珍しい。




「ううん。それより、私ががいてよかったの?」



「それは大丈夫だから気にすんな」




「うん」




お兄様からもらった名刺を見ると東京都……



住所は東京。



英語で書かれたお店の名前。



筆記体で書かれているから読めない。

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