アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
このまま、ここにいたら……きっと、おかしくなる。
伸也さんに迎に来てもらわなきゃ。
携帯を握る左手首にある大きな傷が目に入る。
私は携帯を離し、ゆっくりとその傷に触れた。
ジワっと血のにじむ感覚を思い出す。
ひんやりとした感触が心地良い。
そう思った瞬間、いても立ってもいられなくなった。
切りたい。
切りたい。
切りたい。
無我夢中でカミソリを手首に押し付けた。
血が滲むたびに私は生きていると実感する。
ひんやりとした感触を味わうたびに、私の中の寂しさが拭い去られた。
もう死のうなんて思わない。
でも、私は何かが欲しかった。
私がいると言う証の何かが……
私はここにいると、自分自身で確かめたかった。