アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


そう言って頭を下げると、フワッと頭にあたたかな温もりを感じた。



「そうか。俺は、まんまと亜美の策略にはまったってわけか」



鼻で笑う伸也さんの顔は、優しい顔つきに戻っている。



「本当にすまない事をしたと思ってる」



伸也さんの目にはうっすらと涙が浮かんでいる。



「俺はたまり場で祐と亜美が仲良く話してるのを見て、感情を抑えられなかった。また、亜美が離れていってしまうんじゃないかって怖くなった。だから、自分のものだと確信するために抱こうとした」



「うん」



「もう二度としない。許してくれ」



「大丈夫。私も悪かったし。あの時、祐と話してたのは、伸也さんの事を愚痴ってたの。でも、祐に怒られた。伸也さんを見てないって。私が好きなのは伸也さんだけだよ」



「あぁ」



照れくさそうな伸也さんを見れるのが、たまらなく嬉しい。



私だけが見ることのできる伸也さんの一面。


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