アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女

でも、乗り越えていくしかないんだと思う。




猛は猛の道を歩いていくしかない。




でも…でもね…




「私は変わらないよ。ずっとこれからも…卒業してからも猛の仲間だよ。それは一生変わらない」





「そんなことわかってるよ」






ぶっきらぼうに言う猛の瞳にはうっすらと涙が浮んでいる。






「寂しいからって泣かないの」





「泣いてねーよ」






私も猛と同じ事をよく考えるよ。





このまま時が止まってしまえばいいのにって…こうしてみんなといつまでも馬鹿やっていたいって。





でも、時だけは止まってくれないよね。





どんなに幸せでも不幸でも、時だけは平等に進んでいく。




それがこんなにも残酷な事だって思ったことはない。
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