【原作】妖精なアイツ
―――文化祭当日。




私と妖精は、
体育館のステージの袖で出番を待っていた。



「緊張してる?」


「あ、
ああああああ当たり前やん!」



だって、
人前で、漫才やで??



関西人やっちゅーのに
『おもんない』
とか言われたらショックやーん!!




「大丈夫!
ミッキーなら。」


「あ、あああああ
あんたは何でそんな余裕なんよ?」


「だって、
負けられない相手がいるからね。」


…ああ。
のり姉と、染吾郎さん…




そうだよね。
私も、しっかりしなきゃ…。




私は背筋を伸ばして気合を入れた。



「おっ!
ミッキーその調子!」


「うん!
だって、のり姉と染吾郎さんには負けられへんもんな!?」


「…?」


「え?
ちゃうの?

じゃあ、アンタが負かしたい相手って…?」



キョトンとしていた妖精の顔は、
笑顔に変わった。




「ううん、
分かってないならいい。」



え…。



「ミッキー!
ほら行くよ!」



私は妖精に手を引かれて、
舞台へ上がった。
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