【原作】妖精なアイツ
「何を?」



鮭を頬張りながら聞いた。



「引越しの事!!」



『ああ』と、
状況が飲み込めた私たちは小さく頷く。



「美希、お前何で長谷川に言わんかったん?」



兄貴は私に責任転嫁した。



「はあ?
兄貴の方が長谷川と仲良いやろ?」




「もういいよ!!!!」



長谷川はそう叫んで出て行った。



その後、長谷川を追いかける事もせず、
私と兄貴は無言で朝食を頬張った。


ぶっちゃけ、私は東京に行くのが嫌だった。



標準語を話すには抵抗があるし、
うどんのだしが濃いのも嫌。



でも、東京には大好きなのり姉がいる。



「お前何ニヤついとんねん?
きっしょいなあ」



兄貴は私の鮭にワカメを乗っけると、そう言った。



「何これ?
新製品?」



「おお!
名付けて『ワカメ鮭』や!」



………そのまんまやん。


私はそう思いながらワカメ鮭を頬張る。


以外にイケルと思ってしまった。
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