【原作】妖精なアイツ
私の手の平は、
赤く染まっていた。



私は、妖精の頬に
平手打ちをかましていたのだ。

妖精は驚いた顔でこちらを見ていた。



「なにが…『無理なのかな』やねん!」



私の手の平も、
妖精の頬も、

赤かった。


「『無理』って言える程、
アンタは頑張ったわけ?

好きなら好きって言って、

振られて、

スッキリしてきいや!!」



…言ってる事、
めちゃくちゃや。


『振られる』


なんて、
言ったらアカンやろ。



「男のクセにウジウジウジウジ…
うっとーしいねん!」




なんで、



酷い事を言ってるのはウチやのに…



なんで、
ウチが泣いてんのやろ?



「ミッキー?」



妖精が、
不思議そうにこっちを見ている。



目からボロボロと、
涙が出てきて止まらない。



………最悪や。


ウジウジしてんの、
ウチもやんか。



「…ごめん。」



私はそう言ってその場を去った。




…悔しかってん。
妖精の力になれへんのが。



…寂しかってん。
妖精がのり姉の為に熱くなってんのが。



…辛かってん。
妖精の事が好きって気付いたから。




私はそのまま、
合宿所に戻った。


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