春は来ないと、彼が言った。
「って、これ…」
今さらながら、自分が座らされた場所を認識した。
自転車の後ろだ。
荷台っていうんだっけ、ちょっと硬くて座るには痛いかも…。
そんなわたしを見てなにを思ったのか、急に恢がブレザーを脱ぎ出した。
「ななななななにしてるのいきなっ」
「これ、敷いとけ」
「………へっ?」
ずいっと差し出されたそれを反射的に受け取っていた。
…痛いなって思ったの、ばれてた。
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