春は来ないと、彼が言った。


妃ちゃんはそんなわたしを見て、口端をきゅっと上げた。

これも一種の、妃ちゃん流スマイル。



「悪いことばかりじゃないよ」



色を付けるなら透明としか言いようのない、凛としていてどこか甘い声音。


妃ちゃんのそんな声は、森林浴よりも確かな安らぎを与えてくれる。


ついそっちに気を取られて、意味深な発言を聞き逃してしまうところだった。



「え、どういうこと!?」




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