時空の森と悪戯な風
いっぱい話したかった。
でも、噂でしかないだろうと思った事が、今ここで起きている喜びと驚きが入り交じって、うまく言葉が出てこない。
『弥生…お父さんは、いつも見守ってるよ』
「うん…」
『弥生…どうしたんだ?』
思い切って圭介の話をした。
結婚したくないワケじゃない。
でも、踏み込めないと。
光の中の父は、黙って聞いていた。
『弥生には…智治君が心に残ったままなのか?』
「残ったままというか…整理ついてないし、圭介にも話してない…」
『そうか…昨日、圭介君が来たんだぞ。お父さんと話したんだ…』
「何を話したの?」
その時、ザワザワと木の葉が揺れ動いたのを聞いて、父は言った。
『弥生…もう時間だ…』