時空の森と悪戯な風

車中に圭介はいなかった。



公園にもいない。



周りを見ると、森の中に入っていく圭介を見付けた。



「どこ行くの?」



見付からないように、後を追いかけた。



森の中には散歩コースもあり、木の階段や休憩出来るベンチもあった。



でも圭介は、周りの景色を見る事なく、黙々と森の奥へと歩いていく。



“もしかしたら圭介は噂の場所を知ってるのかも…”



見失わないように、距離を保ったまま付いていった。



すると突然、圭介が走り出した。



アタシも息を切らせながら走るけど追い付かない。



遂に圭介を見失ってしまった。



諦めて帰ろうとしたその時、急に風が森の中を駆け巡ると、ピタッと止んだ。



「この先に何があるの?」



ゆっくり歩いていくと、そこには光に包まれた圭介がいた。



< 8 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop