【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)
「頼むよ、翔子…」



「名前で呼ばないで――ッ!!」



勇士に“翔子”と久しぶりに呼ばれて、私は虫酸が走った。



「私と零士に二度と近付かないで…」



私は聖を引っ張って、入り口へと向かった。



「ママ…」



零士に呼ばれ、顔を上げた刹那、ポロッと、一筋の溢れた。

目に涙が溜まってる私は、聖にしがみ付き、涙を流した。

聖は私の頭を撫でる。

当たり前の幸せ―…
平凡な生活が欲しかった。

それが邪魔されたのが、悔しかった。

勇士が好きだったけど、凄く憎くもなった。

でも、何よりも聖が居た事が嬉しかったんだ――…。
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