【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)
「どうですか?」



バインダーを覗く安藤さんに訊ねる。

安藤さんは私が引き抜いてしまった。

「ギャラ弾んでね」と言われて、毎月、大変だけど、良い仕事をするには、お金は惜しまないと決めた。



「良いねー。聖、ちょっと袖を捲って逞しさも出して(笑)」



HFでは父親として出る機会が多いから、聖の雰囲気は一層されてしまう。

オールバックにしてた髪も、メイクさんにほぐされて、どう見ても、“お父さん”だ。



「はい、行くよー」



私たちは親子らしいポーズを模索しながら撮影を進めた。

零士が私と聖が交代で抱っこしたり、3人で川の字で寝てみたり。
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