朱の蝶
動く私に向けられる銃口
弾丸が今にも飛び出しそう

その銃に手を翳す、四柳。

「やめえ、まだ殺るな
 もっと甚振ってからじゃ」

四柳の声など、今の私には
聞こえない。

私は、瞳を開けたまま倒れて
眠る、一新の亡骸をそっと
この腕に抱く。

この重みは、彼の悲しみ

「イッシン、ごめん」

見たくないと目を瞑った事
を私は今、心から後悔する。

私の頬に触れる、冷たい頬

『チカゲ・・・』

綺麗な死に顔、その唇に
私は口づける。

一新の瞳から流れる一粒の涙

私のために、一新は死んだ。
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