踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>
*叫びと嘲笑
「あいつは、僕が戒(カイ)の傍(そば)にいるのが気にくわないんだ。戒を自分のモノにしようとして僕を売るつもりだった」
「違う! それはお前の誤か──」
「何が違うって言うのさ!」
振り返り戒の言葉を遮った。
「戒は鈍感だから気がついて無いだけだ! 僕には凄くきつくて、戒には優しかった」
「……っ」
手錠の金属音が戸惑いを見せる。
「真仁がこの男を?」
戸塚は手を後ろで組み、まじまじと戒を見つめた。