踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>
 これほどの執念と体力に戒は一瞬、体を強ばらせた。

「……。!」

 水貴を見上げつつまだ痛みの治まらない体を引きずるように後ずさりすると、右手に硬いものが触れた。

 先ほど投げ捨てたデザートイーグルだ。

「──っ」

 それを拾い上げ、水貴に銃口を向けて引鉄(ひきがね)を引いた。

「!? か……っ」

 強烈な弾丸は水貴の眉間にめり込み、男はゆっくりと後ろに倒れていく。

 動いてこないかと数秒ほど見つめていたが、死んだと確信して戒は立ち上がった。
「まったく」

 溜息を吐き出し翼に足を向ける。


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