踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>
*素晴らしきもの
それから一度、深呼吸をして水の入ったグラスに手を伸ばす。
ひと口含んで続けた。
「お金もあるし、力も持ってるボクにその企業は喜んで手を出してきた」
戸籍を調べてもどこにも不備はない。
「ボクのコードは特別なチップだから、特別なプログラムじゃないと表示されない」
デスクに置かれたヘッドセットを手にして発する。
「……」
戒(カイ)は真仁(まひと)をじっと見下ろした。