踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>
「クローンはコピーじゃないという意識が、全ての人に浸透しているワケじゃない。クローンに対する誤認が未だに横行しているんだ」

 だから、その意識さえ正せればクローン自体が悪いとは思わない。

「ちゃんとした意識さえあれば、クローンを認めるコトだって構わないと思うよ」

「それを見たから、戒はクローンを造らなかったの? でも、その恋人の両親は──」

「俺が止めた」

 娘の事を想うなら、その記憶を大切にしたいなら、クローンという見せかけの虚像を追ってはならない。

「時間はかかったが解ってくれたよ」

 すでに恋人の両親も他界したが、自分が言った事は間違っていないと今でも言える。
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