踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>

*2人の男


「や、日本も危険になったよねぇ」

 呑気な声と共に20代前半と思われる青年が顔を出す。

 さらりと背中まで伸びた黒髪を後ろで1つに束ねた、可愛い顔立ちの青年だ。

 暗緑色のカーゴパンツと黒いベスト着こなし、その手にはオートマティック拳銃が握られていた。

「安全な時などあったか?」

 30代後半、40代間近のコートの男はしれっと応えた。

 そして周りの気配に気を配りながら、手にしているリボルバー銃を左脇に仕舞う。

 太陽の光にあせたような黒髪に、赤みがかった黒い瞳は鋭い。
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