踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>
「ねえ戒……」
「なんだ」

 装備確認を行っている戒に翼がぼそりと話しかける。

「なんか僕の服だけみんなと違う気がするんだけど」

「気のせいだろ」

 戒はしれっと応えた。

 納得のいかないような顔をする翼を一瞥(いちべつ)し、再び武器の確認をしていく。

「気のせいなのかなぁ……」

 首をかしげて離れていった。確かに翼だけは替えの服を渡され、それは他のハンターたちと少し違っていた。

 戒はいつもの服装だ。革靴に暗緑色(あんりょくしょく)のパンツ、そして草色の薄い生地のロングコート。中には黒のボディスーツを着ている。

 他のハンターたちは共にミリタリー服で固めていた。

 しかし翼だけは……ソフトデニムのジーンズに長袖のTシャツ、その上はファッション性の高いグレーの防弾ベストである。

 その姿は彼の可愛い顔立ちを引き立たせるものだった。

 もちろん、Tシャツの下には戒と同じボディスーツを着用している。
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