踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>

*兎の衣を借る虎

「戸塚が飼っているハンターたちは定期的に巡回してクローンを探してる」

 次の朝──真仁(まひと)はプロジェクターで壁に都心の地図を映し出し、教鞭(きょうべん)を手に差し示していく。

「とは言っても、彼らはボクたちのようなヘッドセットを使ってるワケじゃない。自分たちの判断で手当たり次第に出会った人たちを殺しているんだ」

 ハンターたちは聞き慣れた言葉に渋い表情を浮かべた。

 新しく参戦する戒と翼以外のハンターたちはずっとそんな相手と戦ってきたのだ。

「戦力としては五分五分だと思う」

 互いに決定打(けっていだ)に欠けている。現在は膠着状態(こうちゃくじょうたい)と言ってもおかしくはなかった。

「これからの作戦としては、戒(カイ)と翼(つばさ)を中心に派手に揺さぶりをかける」

 それに異議を唱える者はいない。一通りの確認を終え作戦会議は締められた。
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